吹田市江坂のいしかわクリニック、内科、消化器内科、胃・大腸内視鏡、肛門科
     

糖尿病

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中の血糖値が高くなり、慢性的な高血糖状態が続く疾患のことを指します。血糖値が正常値を超える状態が長期間続くことで、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

糖尿病は大きく2つに分類されます。1つは、膵臓がインスリンを分泌しなかったり、分泌するインスリンの量が不足しているために発症する「1型糖尿病」で、もう1つは、膵臓がインスリンを分泌する機能があるにもかかわらず、体内でインスリンの働きが十分に発揮されない「2型糖尿病」です。

糖尿病の症状

1型糖尿病

1型糖尿病は、免疫系が体内のインスリン産生を担う膵臓のβ細胞を攻撃して破壊してしまい、結果としてインスリンを作ることができなくなってしまう自己免疫疾患です。このため、血糖値が高くなり、糖尿病を発症します。

1型糖尿病は主に若年者に発症し、原因は不明ですが、遺伝的な要因が関与していることが知られています。また、病気やストレスなどのトリガーが、自己免疫反応を引き起こし、β細胞を攻撃することがあります。

症状としては、多飲・多尿・体重減少・疲れやすさ・視力の低下などがあります。治療としては、インスリン補充療法が一般的で、生活習慣の改善や血糖値のモニタリングも重要な役割を持ちます。また、1型糖尿病は慢性疾患であるため、適切な管理が必要です。

2型糖尿病

2型糖尿病とは、体内のインスリンの働きが低下し、血糖値が高くなってしまう病気のことを指します。1型糖尿病とは異なり、免疫系による攻撃によってβ細胞が破壊されることはありません。2型糖尿病は、主に中高年の人に多く見られ、肥満や運動不足、食生活の乱れなどの生活習慣病的な要因が関与しているとされています。

2型糖尿病には、初期症状として、疲れやだるさ、のどの渇き、頻尿などが挙げられます。また、高血糖が続くことによって、目や皮膚、腎臓、神経などに様々な合併症を引き起こすことがあります。

治療には、食事療法や運動療法、薬物療法がありますが、進行した場合はインスリン注射などの治療も必要となる場合があります。

糖尿病の検査項目

①空腹時血糖値

食事を摂らずに8時間以上空腹の状態で測定する血糖値です。正常値は100mg/dL未満です。

②臨時血糖値

通常食事を摂っていない空腹時に採取された血液のグルコース濃度を測定したものです。

③HbA1c

赤血球内に含まれる血糖と結合したヘモグロビンの割合を表す数値で、3か月程度の血糖値の平均値を示します。
正常値は5.6%未満です。

④グルコース負荷試験

絶食後75gのブドウ糖を摂取し、その後1時間、2時間、3時間後の血糖値を測定します。

⑤C-peptide

C-peptideは、インスリンが産生されると同時に、同じ分子内に存在するC-peptideとともに放出されます。C-peptideはインスリン分泌のバイオマーカーであり、C-ペプチド検査は、膵臓が正常に機能しているかどうかを調べるために使用されます。

糖尿病の3つの治療内容

食事療法

糖尿病の治療において、食事療法は非常に重要な役割を果たします。食事療法の目的は、血糖値を適正範囲内に保つことです。

まず、食事の内容については、以下のような点に注意する必要があります。

炭水化物の摂取量を調整する

血糖値の上昇に大きく関与する炭水化物の摂取量を調整する必要があります。
一般的には、炭水化物を含む食品を食べる際には、適度な量に抑え、炭水化物の種類によって違う上昇の仕方があることにも注意する必要があります。

食事のバランスを考える

タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、栄養素のバランスを考えて食事を摂ることが大切です。特に、高タンパク・低脂肪の食事が好ましいです。

食事の回数を増やす

1日の摂取カロリーを3食に分けずに5〜6回に分けることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。

食物繊維を摂る

食物繊維は、食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。野菜、果物、豆類などから摂取することができます。

アルコールの摂取量に注意する

アルコールには、血糖値を上昇させる作用があります。飲酒する場合は、量を控えるか、飲まない方が望ましいです。

甘味料の使用

甘味料を使うことで、砂糖のような高カロリーな甘味料を避けることができます。ただし、甘味料にも注意が必要で、適量を守ることが必要です。

 

以上のように、糖尿病の食事療法では、
血糖値を適正範囲内に保つために炭水化物の摂取量や食事のバランスを考えることが重要です。

運動療法

糖尿病治療の運動療法は、運動によって血糖値を下げ、インスリンの働きを改善することで糖尿病をコントロールする治療法です。

運動療法は、運動の種類、頻度、強度、時間などによって効果が変わります。糖尿病患者における運動療法の目標は、血糖値のコントロール、体重減少、心血管疾患のリスク低下、身体機能の向上などです。
運動療法の種類としては、有酸素運動、無酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチングなどがあります。

 

  • 有酸素運動とは、心肺機能を改善する運動のことで、ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車などが代表的な種類です。
    有酸素運動を行うことで、血糖値を下げる効果があります。
  • 無酸素運動とは、筋肉の力を使って短時間で高い強度の運動を行う運動のことで、スプリント、ウエイトトレーニング、跳び箱などが代表的な種類です。無酸素運動を行うことで、筋肉を増やし、血糖値を下げる効果があります。
  • 筋力トレーニングとは、筋肉を鍛える運動のことで、軽いウエイトを使ったトレーニングや自重トレーニングが代表的な種類です。筋力トレーニングを行うことで、筋肉量を増やし、血糖値を下げる効果があります。
  • ストレッチングとは、柔軟性を高める運動のことで、ヨガやピラティスなどが代表的な種類です。ストレッチングを行うことで、筋肉や関節を柔らかくし、運動によるケガの予防や血糖値を下げる効果があります。

 

運動療法には、個人に合わせた運動プログラムを作成することが重要です。運動前には、十分なウォームアップを行い、運動後にはクールダウンを行い、怪我の予防をしましょう。

薬物療法

糖尿病治療の薬物療法は、血糖値を下げるために内服薬や注射薬を用いる方法です。以下に代表的な薬剤を紹介します。

 

  • メトホルミン:血糖値を下げる効果があり、2型糖尿病の初期治療に使用されます。
  • スルホニルウレア剤:インスリンの分泌を増やす効果があり、2型糖尿病の治療に使用されます。
  • DPP-4阻害剤:食後の血糖値の上昇を抑える効果があり、2型糖尿病の治療に使用されます。
  • GLP-1受容体作動薬:食後の血糖値の上昇を抑え、体重減少効果もあるため、2型糖尿病の治療に使用されます。
  • インスリン製剤:1型糖尿病や進行した2型糖尿病など、内分泌治療が必要な場合に使用されます。

 

糖尿病治療には食事療法、運動療法との併用が望ましいため、医師や栄養士と相談しながら治療方針を決定する必要があります。また、薬剤によっては副作用や併用禁忌薬があるため、指示通りの使用と定期的な検査が必要です。